デビュー曲は撃沈「夜明けのスキャット」ヒットまでの挫折
誰でも口ずさむことができる「ル~ル~ルルル~」の「夜明けのスキャット」のヒットは1969年。2011年にリリースしたピンク・マルティーニとのコラボ・アルバム「1969」が世界的大ヒットになった由紀さおりにとって、今年は50周年のメモリアルだ。順風満帆に見える歌手生活だが、その裏ではこれまで語ったことがない挫折を何度も経験してきた。
読者の中には「スカッとさわやか、コカ・コーラ」とか、「トヨタカロ~ラ」の60年代のコマーシャルソングを覚えてる方もいるんじゃないかしら。実はあの歌は私と姉(安田祥子)が歌っていたものです。
当時、私は中学生で姉は大学生。子供の頃に横浜のひばり児童合唱団に入って歌を習ったことがきっかけで、中学時代からCMソングを歌っていました。その延長線上で歌手デビューし、「夜明けのスキャット」のヒットに恵まれましたが、それまでにすでに立ち直ることができないほど挫折を味わいました。
その頃、童謡歌手は大成しないというジンクスがありました。中学に入ってからは童謡歌手から卒業しようとして、リズムを習ってジャズを勉強するようになった。ある日ジャズの先生に「歌がうまくなりたいなら舞台で歌いなさい。お客さんからいただく拍手が自分を成長させるんだ。銀座のクラブで歌うか」と言われたんです。