「パラサイト」はアカデミー賞の歴史を塗り替えられるか
「あらかじめネットで予約して19日の日曜日に見に行ったんですが、早い段階で満席となっている回もありました。満員の劇場内を見渡したところ、年代層が幅広く、男女も半々ぐらい。上映終了後、ロビーを歩きながら興奮した様子で感想を言い合う人たちが、いつもより多かった印象ですね」(芸能ライター)
「パラサイト」はなぜ、こんなにも多くの人々の心をつかんでいるのか。
「希望が見いだせない貧困層のあえぎ、叫びといったテーマが、各国の映画として顕著に据えられるようになっていますが、『パラサイト』は面白さという面で群を抜いています」と話すのは、映画「武士の家計簿」「二宮金次郎」などの脚本を執筆している脚本家の柏田道夫氏だ。こう続ける。
「貧困の象徴である半地下の家に住む兄と妹が、豪邸のセレブ家族に巧みに入り込んで……という序盤から、一気に観客の予想を次々とひっくり返す二転三転の展開へ。ハラハラドキドキのサスペンスでありながら、ブラックな笑いが恐怖へと転換した先に、もうひとつの“家族愛”という感動テーマまで伝える。実に練り込まれた脚本と、ポン・ジュノ監督の“してやったり感”が満載。これらのすべてに、観客は引き込まれているのでしょう」