巣ごもりLIFEを10倍楽しむDVDの名作・快作・珍作

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鬱屈した気分を吹き飛ばすなら

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言により、今年のGWはあらゆる予定が吹っ飛んでしまった人がほとんどだろう。下手に外出もできないし、かといってテレビをつければコロナコロナで気がめいる。ならいっそ見逃した話題作や、隠れた傑作映画の数々をDVDや動画配信サービスで巣ごもりを10倍楽しむべし!

 この鬱屈とした空気を吹き飛ばしたいなら、名勝負と語り継がれる1966年のル・マン24時間耐久レースを描いた「フォードvsフェラーリ」。当時敵なしと言われたフェラーリの傲慢な会長から「醜い車ばかり売る儲け主義者」とバカにされた米フォード社が、威信をかけて挑んだ実話の映画化だ。レースカー開発やレーサー探しの苦労を、軽妙かつ感動的に描く米国版「プロジェクトX」。体重を31キロ落とし、プロの運転技術も会得して演じたクリスチャン・ベールの鬼気迫る役作りと、ド迫力のレースシーンが見どころだ。

 車好きかつ映画好きなら「ジョン・デロリアン」も必見だ。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズのタイムマシンで有名なデロリアンDMC―12の開発者の伝記ドラマ。今も愛好者が多いこのクルマが、いかに規格外の設計だったか。そのぶっとんだ開発の舞台裏と、夢やぶれるまでの波瀾万丈な物語が興味深く描かれる。何はともあれ、ピカピカのDMC―12が走る姿は目の保養になる。




二階堂ふみの巨乳を堪能

 別の意味で眼福なのは「人間失格 太宰治と3人の女たち」。「人間失格」誕生に迫るフィクショナルな劇映画で、写真家・蜷川実花監督ならではのポップな色彩が面白い。あくまで女子目線で解釈した色恋物語で、“ヴィヨンの妻”こと正妻を演じる宮沢りえ、愛人・静子役の沢尻エリカともに濡れ場で色気を振りまく。注目は魔性の女・富栄を演じた二階堂ふみで、自慢の巨乳と全裸を惜しげもなく大公開。“脱げる若手トップ女優”の余裕を見せつける。

 大笑いしたいなら三谷幸喜監督の政治コメディー「記憶にございません!」。性格の悪さとダメ政策で支持率が壊滅的な不人気総理が、あるとき記憶喪失。正反対の“善人おじさん”になってしまう。コトを隠そうとする秘書官らと、急にまっとうな政策をはじめた総理によって事態は予想外の方向へ……。とっぴな設定ながら妙に現実味あるシーンが続出で、試写会に呼ばれた安倍首相も見て苦笑したとか。

今の日本との類似性を嫌でも連想

 本格的なポリティカルドラマなら韓国映画「国家が破産する日」がいい。

 1997年の通貨危機の知られざる実話を、綿密なリサーチをもとにしたディテール豊かな描写で見せるサスペンス。グローバリズムの刺客たるIMFの構造改革押しつけに対し、必死の抵抗戦を繰り広げる韓国側の非公式の対策チーム。国民経済のため、最後まで立ち向かったその姿が胸を打つ。

 似たような構造改革を進めた今の日本との類似性を嫌でも連想し、複雑な思いにさせられる。

日中スターをエベレストに集めた異色エンタメ

 最後は日中合作山岳アクション「オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁」。エベレスト山頂近くに墜落した飛行機と機密文書の回収作戦に、役所広司演じる隊長率いる救助隊が巻き込まれる。初監督のユー・フェイの本業はゲーム会社の中国副社長で、自らエベレストや両極制覇を達成した冒険家でもある。さらに小説家としても成功した大金持ちだ。そんな彼が、尊敬する役所広司ら日中のスターを集めて大好きなエベレストを舞台に作った冒険映画。いわば世界一ぜいたくなワガママをつらぬいた異色のエンタメ作というわけだ。

(選・前田有一/映画評論家)

★まだまだあるぞ!オススメ作品★

バッドボーイズ フォー・ライフ」(レンタル中)
 R-15作品ならではの過激刑事アクション。ウィル・スミス主演

「エンド・オブ・ステイツ」(レンタル中)
 自爆ドローン攻撃など現実を予言して話題になった政治アクション

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 実物のT-34戦車を爆走させ、ロシアで大ヒットした痛快戦車バトル劇

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 現代の経済をも暗喩し、討ち入り場面なしなのに痛快&感動の忠臣蔵

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