上野樹里「監察医 朝顔」は難解ドラマ 複雑に絡む要素とは
そう語るテレビコラムニストの亀井徳明氏は、「少なくとも3作品分くらいの要素がある」と、こう続ける。
「例えば『ドクターX~外科医・大門未知子~』のように〈職業+名前〉がタイトルになるドラマは、圧倒的なヒーローが各話の“事件”を解決していくというのが基本ですが、『監察医 朝顔』は違う。法医学者の娘とベテラン刑事の父の“バディー”による事件解明。その“父娘バディー”一家の日常。そして東日本大震災で行方不明になった母のこと。それぞれで別な作品ができそうな3つの要素を、ひとつの作品にまとめ上げるのは大変な作業です。どのパートも散漫になっては成立しない、難しいところにあえて挑戦しているわけで、そのぶん評価のハードルも高い」
初回では冒頭に朝顔の娘つぐみを中心にした温かい家族の姿を描いてほっこりさせたが、ラストには「この時の私はまだ気づいていなかった。私たち家族に残された時間がそう長くはないことを……」という朝顔のモノローグで、バッドエンドをにおわせた。
「クライマックスは“2011年3月11日”から満10年となる来年春。初回ラストのこのモノローグが、後の展開に常につきまとってくると思います」(亀井徳明氏)
そのテーマの重さに、視聴者が半年間ついて来られるかどうか。カギは、ネット上で〈天使みたい〉と言われている“つぐみちゃん”が握っているかもしれない。