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船山基紀編曲家

1951年、東京都生まれ。編曲家。デビュー作は中島みゆき「アザミ嬢のララバイ」。昨年死去した作曲家・筒美京平と組んだ作品が一番多く、沢田研二、渡辺真知子、田原俊彦ら数々のヒットを飛ばした。昨年12月に編曲を手がけた作品を収録した「船山基紀 サウンド・ストーリー」(ソニー・ミュージックダイレクト、CD4枚組72曲)をリリース。

「船山君は筒美京平が嫌いでしょ?」と言われてドキッ

公開日: 更新日:

 打ち合わせでは先生に「こんな感じで」って言われました。僕は舞い上がっていて、言われたことの半分も理解していない。それでもわかったふりをして返事して、家へ帰ってから朝まで寝ずにやりましたよ。翌日そのままスタジオに入ってレコーディングを始めたら、案の定、いろいろと注文が入るんですよ。「違う、そこはこうじゃないよ」とか。汗だくになって、ひとつずつ直して。先生から「とりあえずOK」と言われた時はホッとしたのを覚えています。

 やっと帰れると思っていたら「船山君、お昼食べない?」って京平先生が誘ってくれて、銀座の「お多幸」に連れて行ってくれました。銀座でメシを食うなんて経験がないから緊張していると、先生が唐突に「船山君は筒美京平が嫌いでしょ?」って言うんです。ドキッとしましたよ。

 あの頃、筒美京平といえば歌謡曲です。僕らは若者のフォークソングを作っていたから、歌謡曲の神様みたいな人に「嫌いでしょ?」って言われて、ヒヤッとしたわけです。「そんなことないですよ、『ブルー・ライト・ヨコハマ』は大好きです」って汗だくになって答えましたね。実際、「ブルー・ライト・ヨコハマ」は、あの当時歌謡曲にまったく興味がなかった僕でも大好きな曲でした。先生のあの言葉は今でも耳に残っています。

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