追悼・田中邦衛さん「邦ちゃんの会」をつくりたかった
他の出演者やスタジオ内のスタッフは凍りついたが、私は、面白くなった。
「そうですよね。どうでもいいですよね。そうだ、黙ってる田中邦衛さんを映しましょう。テレビなんですから。ラジオでこれじゃ、放送事故だけど、大丈夫!いいんです、このままで。はははは……皆さん、本日のゲストは田中邦衛さんです」
そしたらチラッとこっちを見て、ふっと笑った。面倒くさかった。
トークが嫌なら断ればよかったのに、番宣とか何かどうしてもお願いされて渋々来てくださったのに入り口でトラブり、そりゃあ機嫌も悪くなりますよね。後にも先にもお会いしたのはその1回だけ。でも“邦”だし、好きだった。名ゼリフ「よ? 澄ちゃん、いいだろぉ? よ?」も「まだ子どもが食ってる途中でしょうが!」ももれなく真似させていただいてます。余談だが松村邦洋も三田村邦彦さんも向田邦子さんも好きだ。“邦ちゃんの会”をつくりたかった。でもきっと口をとんがらかして下を向いて「俺、そーゆーのは……いいよ(嫌だよ)」と小さな声で言っただろう。合掌。