玉城ティナはイリュージョニスト女優…弱みを強みに反転
そうしたダークヒロイン系だけでなく、ドラマ「極主夫道」(日本テレビ系)では喫茶店でアルバイトをしている女子大生役を演じ、レトロな純喫茶の制服姿がハマっていた。そして、キャラクターのインパクトとしては、ソフトバンクのアンドロイド役は究極の境地まで行ったと言える。
ハーフらしいフランス人形のようなルックスから、普通であれば演じる役柄が限定されてしまうところだが、彼女の場合は弱点を逆に強みに反転させて、女優としての居場所を獲得した。
数年前にインタビューしたときに彼女は「意外だとよく言われますが」と前置きをして笑いながら、江國香織や島本理生の小説、中国系アメリカ人作家ケン・リュウのSF小説など幅広い文学をたしなんでいると明かし、「脚本を読み解く力はあると思います」と語った(「日経エンタテインメント!」2019年1月号)。ここに、彼女が異色のキャラを得意とする秘密が隠されている気がした。
映画やドラマ、そしてCMは、見ている人を「ここではない」別世界に飛ばしてくれて、日常の疲れや悩みを忘れさせてくれる力がある。
玉城ティナは、非現実的な登場人物をリアルに演じることで私たちを別世界に招く、イリュージョニストの才能を持つ女優だ。