ウィル・スミスの“ビンタ騒動”で思い出す…野坂昭如vs大島渚のパーティー大立ち回り
ウィル・スミスが妻を侮辱したコメディアンのクリス・ロックをバシッとビンタ……、アカデミー賞授賞式の衝撃の映像が世界中に流れた。あれを見た中高年の中には「そういえば」と思い出した人も多かったはずだ。
作家の野坂昭如が壇上で映画監督の大島渚を殴りつけ、これに怒った大島がマイクでゴンゴンと野坂に反撃……。
1990年10月23日。東京プリンスホテルで大島渚監督と小山明子夫人の「結婚30周年パーティー」が開かれていた。野坂と大島はテレビ朝日「朝まで生テレビ!」の常連、大島は論客相手に「バカヤロー!」とやるのがお約束で、2人は大の仲良し、当然ながら野坂はスピーチを頼まれていた。
ところが、ご機嫌の大島がそのことをすっかり忘れたのか、三三七拍子の手締めでお開きになったのだが、大島が思い出したように「みなさん、お待ちください。野坂さんがいらしてます」と取ってつけたように呼びかけた。すでにべロベロに酔っぱらい、腹の虫がおさまらない野坂が壇上に上がり、和歌を詠み込んだスピーチでお祝いの言葉を贈ってから、フラフラと大島に近づき、「俺を忘れやがって」とグーパンチを繰り出した。そしてゴンゴンの大騒ぎに。