麻倉未稀さん 5年前の乳がん全摘で歌い方に変化「いつまでも背中に呼吸を入れて歌いたい」

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がん検診啓蒙活動でも多忙な毎日

 3つ目は「一般社団法人かながわ県央ピンクリボン」。実行委員長・理事として関わり、主に神奈川県央を中心に活動を始めています。啓発活動の一環で行っているのがピンクリボンライトアップです。元々は「ピンクリボンかながわ」の本拠地・横浜で開催されていましたが、昨年、神奈川県内に広げたいとの申し出があり、2つの団体が加わり今年も開催いたします。そして先日、一般社団法人日本専門医機構の理事に正式に承認していただきました。

 ただ、今は歌手活動をメインにしたいので、スケジュールの取り合いのような状態です(笑)。

 私の場合、乳がんはホルモン治療でした。乳がんは他のがんと違って再発までの期間が長いケースもあって、ホルモン治療の場合、10年です。10年たたないと完全に治ったかどうかわからない。できれば、ずっと歌い続けたいですけどね。

 がん患者のワークショップをやらせていただくことがあります。声を出すのは体にすごくいいことです。コロナ禍ではリアルではやりづらかったけど、少しずつできるようになっています。

 キャンサー(がん)ギフトという言葉があります。がんになったことで得ることです。私の場合は以前とは歌い方が変わりました。手術から3週間で復帰しましたが、声が響くと痛みがあるので、どうやったら緩和させられるか悩んでいました。体に声を入れるのが大変でどこに呼吸を入れると歌いやすいか、試行錯誤していました。

 リハーサルをしながらわかったのは背中に近いところに呼吸を入れると楽に入り、楽に歌えるということ。それまで背中じゃないところにどんだけ力を入れて歌っていたんだろうと思いましたね。たまたま庄野真代さんと一緒で「背中に入れると楽なのよ」と言われ、目からうろこでした。

 人の体に呼吸を入れるのは前か真ん中か背中です。どの位置に入れると歌いやすいか、自分で探ってみる。やってみたら背中が一番ストーンと入って声が出やすく、痛みもない。そのことにどうして今まで気がつかなかったのか。そしてこれからは背中で歌っていこうと決めました。ソフトカイロの先生からは「それを細胞に覚えさせなさい。それを忘れると体のどこかに力が入ってしまう」とアドバイスされました。

 デビュー40周年。ドラマのテーマ曲を中心にしたカバー集「人生はドラマ これからも続く私のヒーロー物語」を出しました。新曲も入っています。「ヒーロー」の売野先生、作詞家の松井五郎先生もこの世界のデビューは私と同じ1981年ということがわかり、松井先生に作詞をお願いすることになりました。

 作曲は庄野さん。「夜もヒッパレ」でご一緒して以来、ユニットを組ませていただいたり、ライブもやって、ずっとお世話になっています。真代さんも悪性リンパ腫を患っていますが、今も元気に頑張っていらっしゃいます。今は元気になられました。私なりにそれまでのお礼ができないかを考え、私を一番理解している真代さんにお願いしようということになりました。

 それが「The breath of life」です。これからはゆっくりと自分なりのスタンスで前に進む方法がある。その時は一人じゃない、焦らずに生きていこうという歌です。

(聞き手=峯田淳/日刊ゲンダイ)

♪7月27日リリース「人生はドラマ これからも続く私のヒーロー物語

■麻倉未稀 デビュー40周年記念LIVE~Birthday&復活5周年
7月26日、東京・COTTON CLUB 
8月1日、ビルボードライブ大阪
8月21日、ビルボードライブ横浜

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