【追悼】葛城ユキさん 「大事故の退院前日に飲んだビールが人生最高の味」
「ボヘミアン」の代表曲で知られる歌手の葛城ユキさんが原発性腹膜がんのため6月27日に亡くなった。73歳だった。
葛城さんには2010年にインタビューでご登場いただいた。テーマは連載の「今だから語れる 涙と笑いの私の酒人生」。これでまさに葛城さんの大きな出来事、03年のテレビ番組収録中の事故を語っていただくことになった。
03年10月2日。当時54歳。フジテレビ系「とんねるずのみなさんのおかげでした」の企画「人間大砲」。サーカスでも用いられる3.2メートルの大砲を模した装置から、ゴムの動力で空中を飛びながら、ヒット曲のサビを歌い、他の参加者が誰が歌っているかを当てるというもの。ヘルメットはかぶっていたが、空中に打ち出された葛城さんは頭から鋭角に突っ込むように落下。着地点には深さ2.5メートルのウレタンが敷き詰められていたが、胸椎を粉砕骨折する大ケガを負った。すぐに病院に運ばれた葛城さんは5時間を超える大手術。幸い下半身不随になるのを免れ、奇跡的に数カ月後、復帰することができた。話してくれたのは闘病中のことだった。