伴大介さん 病魔をやっと克服…年を重ねるごとに円熟味を増す俳優になりたい
「普通の人なら死んでますよ」
伴さんはその後、「イナズマン」や「忍者キャプター」の主役にも抜擢されるなど、昭和のちびっこたちのヒーローとして絶大な支持を集めた。順調に役者としてステップアップする伴さんだったが、密かに体をむしばんでいた病魔により一線から退くことになる。
「40歳ごろから、みぞおちのあたりに激痛が走るようになり、45キロくらいまで激痩せしたんです。ただ、病院に行くのが嫌だったので、痛みに耐えながら、だましだまし仕事を続けていたのですが、次第に頬まですっかり痩せこけて、仕事も激減してしまいました……」
ついに伴さんの体は限界に達する。それは50代後半のことだったという。
「夜中に激痛が走って目覚めたら、みぞおちの辺りからプチンという音がしたんです。それで救急車で病院に緊急搬送されました。医師の診断は十二指腸穿孔でした。医者からは『普通の人なら死んでいますよ。よく、今日まで生きていられましたね』と言われました(苦笑)」
だが、伴さんが抱える病気はこれだけではなかった。その数年後には腸閉塞も見つかり、しばらく治療に専念したという。
「今はすべての病気を克服して、健康診断の結果はオールA。健康の秘訣は自然体でいること。それと最近は魚よりも肉をたくさん食べるようにしている。あと、毎日風呂には入っているけど、シャンプーやボディーソープで体をあまり洗わないんですよ(笑)。あれって結構、刺激が強いんだよ。もっと私の近くに寄って顔を見てよ。肌もツヤツヤだし、シワもほとんどないだろう(笑)」
■今年は放送開始50年
最後に、今後の目標について聞いた。
「私は病気のせいで役者として一番脂の乗っている40~50代を台無しにしてしまった。それが悔しくて悔しくて。だから、その失われた20年を取り返すために、今は定期的に下北沢の小劇場の舞台に出たり、役者として精力的に活動しています。どんな小さな仕事でも常に全力で臨んでいるよ。90歳を過ぎても、いまだ現役のクリント・イーストウッドのような、年を重ねるごとに円熟味を増す俳優になりたいね。あと、今年は『キカイダー』放送開始から50年ということで、主題歌などを収録したミニアルバムを秋ごろに出す予定です。人生100年時代、まだこれからですよ」
(取材・文=西村耕策)