映画監督・崔洋一さん死去 気骨と反骨の映画人生「表現の自由を守ろうとする筋の通った人」
映画監督の崔洋一さんが27日、ぼうこうがんのため死去した。73歳だった。
崔さんは大島渚監督の助監督を経て、1983年に「十階のモスキート」(主演・内田裕也)で映画監督デビュー。93年にはタクシー運転手の在日コリアンの男と日本でたくましく生きるフィリピーナの人間模様を描いた「月はどっちに出ている」で多くの映画賞を受賞。
2004年の「血と骨」(主演・ビートたけし)では日本アカデミー最優秀監督賞などを受賞した。また映画のみならず、情報番組のコメンテーターとしても舌鋒鋭く世相を斬った。
映画批評家・前田有一氏はこう言う。
「監督協会の会長として長らく活躍され、業界内でもリーダーシップを発揮されていた功績は偉大。反日的映画の上映に反対する右翼に毅然と立ち向かい、表現の自由を守ろうとする筋の通った人でした。私も記者会見会場で崔監督とやりあったこともありましたが、表現のためには資本になびかない、一本筋の通った最後の世代だったと思います」
気骨と反骨の映画人がまたひとり、この世を去った。