ジャンリュック・ゴダール監督死去 “語録”でたどる挑戦と革命の人生
「なぜ映画を撮り続けているのか? 語ることができないからだ」
そう語っていたのは、このほど91歳で亡くなった映画監督、ジャンリュック・ゴダール氏。高松宮殿下記念世界文化賞の演劇映像部門の授賞式で2002年に来日、当時71歳のヌーベルバーグの鬼才は日本で初めてとなる記者会見に応じた。
尊敬するフェデリコ・フェリーニ監督、黒沢明監督らの名前を挙げつつ、「年をとるごとに映画製作の難しさが分かってきた」と語り、新作を準備中であることを明かした。既成のシステムや方法を覆し、新たな波をつくり続けたゴダール氏は、商業映画に背を向けていた時期があることでも知られる。
「ハリウッド映画の世界支配はミステリー。アメリカにはもう本物の映画プロデューサーはいない。いるのはエージェントと弁護士だけだ。そのアメリカはイスラム原理主義と対立を深めているのに、昔からハリウッドのことを映画のメッカと言う。なぜだ?」などと皮肉交じりに持論を展開したそうだ。
一方で日本映画への評価は高く、「溝口健二、黒沢明、小津安二郎、成瀬巳喜男といった優れた映画作家がいた」とし、大島渚、北野武監督を絶賛したという。