東出昌大「三好達治が別れた妻子に仕送りしたかった気持ちは、もちろんボクには分かる」
東出昌大(俳優)
ついに本格復帰に向けて動きだした。2年前、女優・杏(36)との間に3人の幼子がいながら若手女優との不倫を報じられ、激しいバッシングにさらされた。その後、離婚。当時について「あの時は本当にグチャグチャでした。家族や仕事、身近な信頼関係が眼の前で崩れていく。(略)僕は全国民に嫌われてるんだと考えてました。とにかく、しんどかったです」(週刊文春CINEMA! 2022秋号)と振り返っている。何かと話題になる中、主演映画2作品の公開が迫る。ひとつが9日公開の「天上の花」。私生活とリンクする主人公の詩人・三好達治を演じている。
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──萩原朔太郎の娘、萩原葉子の同名小説を映画化した「天上の花」では戦争の時代に翻弄され、詩と愛に葛藤し、懸命に生きた人々の姿が描かれています。その一方で、三好達治が長い片思いの末に、思いを遂げた朔太郎の妹・慶子(入山法子)を激しく殴るDVシーンも話題です。
ボクは脚本家の荒井晴彦さんのファンで、荒井さんが今作の脚本に入っていると聞き、二つ返事で仕事を引き受けました。ただ、DVシーンは初挑戦。女性を殴るということについて突き詰めて考えると、胸がギュッと締め付けられたような感じになりました。結構きつい役でしたね。
──入山法子さん、有森也実さんとの激しい濡れ場もあります。
セクシャリティーな描写がある作品にはこれまでも出たことがあったので、そんなに抵抗はありませんでした。
──東京に空襲が迫りくる中で、身を隠すように慶子と雪深い越前三国にひっそり新居を構えて生活する場面が出てきます。最近話題の、東出さんの“山ごもり生活”と通じるものがありそうですね。関東近郊の山あいで狩猟をしながら暮らしていると伝えられました。
ガスもなく、お風呂もない山小屋に山の水を引いて住んでいます。ちょっとした電気はあるんですが、なるべく電気に頼らないようにしています。近くで採った山菜を食べたり、野菜を自分で育てたり。ショウガやニンニクなどは農協の直売所で購入しています。ボクが狩猟で狙うのは主に鹿です。“単独忍び”という1人で狩りをするスタイルで、仕留めた獣は自分でさばきます。命をいただくわけですから、過剰な殺生はしません。
■ヘビを食べると体に力がみなぎる
──ヘビも食べると聞きました。
ヘビは山中で野営している時に食べます。よく食べるのはマムシ、シマヘビ、ヤマカガシ、アオダイショウ。丸焼きにしたり、揚げたり、汁の具にして食べます。ヘビ肉は鶏と魚の間みたいな食感なんですが、骨が硬く、しっかり揚げると魚の骨せんべいみたい。よく煮ると肉がほろほろと崩れます。昔から言われているように、ヘビは食べると元気になります。体に力がみなぎる感覚を覚えます。
──携帯電話は常に圏外だそうですね。
電波が届かない場所なのでネットもつながりません。仕事で連絡をする時にWi-Fiが飛んでいる場所に行ったり、里の温泉に行った時に携帯電話を見たりしています。たぶん100年前の山の人に近いプリミティブな生活なんじゃないかと思います。人が生きていくのに必要なものは、必ずしもお金だけではなく、健康な肉体や知識だと最近思いました。本来、動物って、食べること、食べられないこと、子孫を残すこと、この3つだけで生きている。ボクもそういうものに少しでも近づきたいと思いながら、ボチボチと生きています。