高倉健さんがシャンパン持って「知ってて知らん顔するのも失礼だと思って…」
かなり昔、あるホテルでディナーショーをやったときのことです。
忘れもしないクリスマスイブ。開演前の楽屋でメークしていると、ドアベルが鳴ったんです。すると出ていったマネジャーが、すっ飛んで戻ってきて「高倉さまがお見えです!」。
最初はなんのことかわからなくて、何言ってんのよと聞き返すと、「高倉健さまです」。
え~! 半分、パニックですよ(笑)。もう、どうしていいかわからず、そのとき楽屋にいたショーの構成演出の高平哲郎さんに、「哲ちゃん、一緒に来てよ! アンタ、健さんのこと知ってるでしょ」。他に頼りになりそうな人がいなかったから、高平さんに付き添ってもらって出ていったんです、ハンパなメークのまま(笑)。
そしたら映像でしか見たことがない高倉健さんが、ドアの所に立っているじゃありませんか。リボンのついたシャンパンを持って。もう、呼吸止まっちゃうし、何も言い出せずにいたら、恥ずかしそうにほほ笑んで、「ご無沙汰しています」。「あ、どーも」って、どこでお会いしたか、全然、覚えてないっていうか、もう、プッツンして訳わからなくなってしまって。