NHK・BSプレミアム「シン・仮面ライダー~ヒーローアクション挑戦の舞台裏~」アクションをめぐる葛藤
庵野秀明監督作品の制作過程に約2年間密着したのが、3月31日にNHK・BSプレミアムで放送された、ドキュメント「シン・仮面ライダー~ヒーローアクション挑戦の舞台裏~」だ。
庵野は「ノスタルジーだけではなく、新しいものを。でもノスタルジーは捨てたくない」と言う。この二律背反ともいえる難題は、制作現場の随所で噴出する。特に「アクション」をめぐる葛藤と波乱は激しく、この番組の見どころとなっていた。
アクション監督が練りに練ったシーンを、「頭の中が殺陣でいっぱい」「創意工夫が足りない」と庵野はことごとく否定していく。何より「段取り」を嫌い、排除したいのだ。
■俳優陣にも負荷
主演の池松壮亮をはじめとする俳優陣にも負荷をかける。「自分のイメージを押しつけるならアニメのほうがいい」「僕からイメージを出すことはない。後は役者次第」と考えさせるのだ。
監督と俳優たちが、アニメとは異なる、実写ならではの「本物感」を探っていく現場はスリリングで目が離せない。ここでもライダーたちの「一生懸命さが見えない」と「段取り」を厳しく指摘。アクション監督と決裂寸前までいく。
結局、クライマックスは池松、柄本佑、森山未來の3人に託され、「ベストは何だ?」と真剣な試行錯誤が続いた。その成果を確かめるためにも映画館へ行こうと思う。