早稲田大学セクハラ事件のコメントに反響…あー地獄、もう傍観者になるのはやめよう
一方の渡部氏はどうか。この問題を受けて18年7月には教授を解任された渡部氏だが、すでに「復権」を果たしているとぼくの目には映る。翌19年には早くも主要文芸誌で健筆を振るっていたし、昨年刊行された単著に至っては、柄谷行人(81)と蓮實重彦(86)というこの国の「知の巨人」ツートップがそろって帯に推薦文を寄せているのだ。権威中の権威のお墨付きを得た敵。深沢氏の心痛はいかばかりか。同情を禁じえない。
あー、地獄。反吐が出る。
こんな物言いはぼくにしては珍しいかもしれない。告白すると、じつはぼくもかつて同じ大学で渡部氏の授業を受けていたのだ。もう30年以上も前の話だから、渡部氏もまだ30代後半か。現代文芸の授業中に新進女性作家の名前をだして「小説だけじゃ食えてない。俺が面倒を見ている」と自慢げに言い放ったことをよく憶えている。今回の「俺の女にしてやる」報道を見て、まだそんなこと言ってたのかと呆れを通り越して哀れみすら覚えた。そういえば、好きな作家を問われて連城三紀彦の名前を挙げたぼくに「こんなバカが俺のクラスにいるなんて信じられない。単位ならやるから出て行け」と暴言を吐いたこともあったな。渡部氏だけでなく、ぼくに一瞥もくれずに暴言を黙って聞き流す学友たちにも失望と幻滅を感じたものだ。