「M-1グランプリ」エントリー数が過去最高8540組に “競技漫才”ますます激化の吉と凶

公開日: 更新日:

100メートル走と1万メートル走

 同大会の審査員経験もあるナイツ塙宣之(45・写真円内)は、自著「言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか」(19年)で、「ナイツの漫才は寄席の漫才だから勝つのは難しいよな」と、かつて大会委員長の島田紳助に言われたことを告白している。寄席では持ち時間は10分から15分、長い場合は20分も普通だからだ。塙はこう書いている。

〈(4分と15分の違いは)陸上にたとえれば100メートル走と1万メートル走くらいの違いがあります(中略)寄席に慣れきっていた体でいきなりM-1に出場したら、足がつるか、肉離れを起こしかねませんよ。最悪の場合、アキレス腱が切れちゃいます〉

 それで芸人は「M-1」用にネタを作り、何度も練習を重ねるそうだ。こうした漫才の“競技漫才化”は、昨年12月、スポーツ専門誌「Number」(文芸春秋)が「スポーツとしての4分間の競技漫才」として、通常のスポーツノンフィクションの手法で「M-1」を特集したことも象徴的だ。お笑い評論家のラリー遠田氏はこう話す。

「芸人たちがM-1に勝つための“競技漫才”にこだわりすぎると、ネタが画一化してしまう危険性はあると思います。一方で、M-1という明確な目標があることで、芸人たちが腕を磨き、漫才のレベルが上がってきたという側面もあります」

 賛否はあれど、「M-1」が漫才のレベル向上に貢献していることは間違いない。現在、予選の真っ最中だが、今年末、一夜にして人生を変えるのは、果たしてどんなコンビだろうか。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    露木茂アナウンス部長は言い放った「ブスは採りません」…美人ばかり集めたフジテレビの盛者必衰

  2. 2

    松本人志は「女性トラブル」で中居正広の相談に乗るも…電撃引退にショック隠しきれず復帰に悪影響

  3. 3

    フジテレビ日枝久相談役に「超老害」批判…局内部の者が見てきた数々のエピソード

  4. 4

    フジテレビが2023年6月に中居正広トラブルを知ったのに隠蔽した「別の理由」…ジャニーズ性加害問題との“時系列”

  5. 5

    フジ女子アナ“上納接待”疑惑「諸悪の根源」は天皇こと日枝久氏か…ホリエモンは「出てこい!」と訴え、OBも「膿を全部出すべき」

  1. 6

    中居正広まるで“とんずら”の引退表明…“ジャニーズ温室”育ちゆえ欠いている当事者意識に批判殺到

  2. 7

    フジテレビ労組80人から500人に爆増で労働環境改善なるか? 井上清華アナは23年10月に体調不良で7日連続欠席の激務

  3. 8

    中居正広「引退」で再注目…フジテレビ発アイドルグループ元メンバーが告発した大物芸能人から《性被害》の投稿の真偽

  4. 9

    NHKは「同様の事案はない」と断言するが…フジテレビ問題で再燃した山口達也氏の“EテレJK献上疑惑”

  5. 10

    GACKTや要潤も物申した! 中居正広の芸能界引退に広がる「陰謀論」のナゼ

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松本人志は「女性トラブル」で中居正広の相談に乗るも…電撃引退にショック隠しきれず復帰に悪影響

  2. 2

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  3. 3

    べた褒めしたベッツが知らない、佐々木朗希"裏の顔”…自己中ぶりにロッテの先輩右腕がブチ切れの過去!

  4. 4

    フジテレビ労組80人から500人に爆増で労働環境改善なるか? 井上清華アナは23年10月に体調不良で7日連続欠席の激務

  5. 5

    ついに不動産バブル終焉か…「住宅ローン」金利上昇で中古マンションの価格下落が始まる

  1. 6

    露木茂アナウンス部長は言い放った「ブスは採りません」…美人ばかり集めたフジテレビの盛者必衰

  2. 7

    中居正広「華麗なる女性遍歴」とその裏にあるTV局との蜜月…ネットには「ジャニーさんの亡霊」の声も

  3. 8

    和田アキ子戦々恐々…カンニング竹山が「ご意見番」下剋上

  4. 9

    紀香&愛之助に生島ヒロシが助言 夫婦円満の秘訣は下半身

  5. 10

    フジテレビにジャニーズの呪縛…フジ・メディアHD金光修社長の元妻は旧ジャニーズ取締役というズブズブの関係