「セクシー田中さん」の悲劇に“粗製乱造”の弊害…原作者と日テレ制作側の溝は埋められなかったか
原作へのリスペクトの欠如は多くの関係者が指摘するところだが、一方でこんな声もある。ドラマ関係者の話。
「今はヒット漫画の原作などではないと、企画も通りにくい。ドラマになれば、作品の知名度も上がり、出版社や作家とはウィンウィンの関係なのだから、本音をいえば、原作者にはある程度任せてほしい。実際、『ドラマと原作は別物と考えている』と公言している作家や漫画家もいる。しかし、芦原さんはそれに納得がいかなかったということです」
ドラマ制作の現場にも詳しいメディア文化評論家の碓井広義氏はこう話す。
「この件に関しては、論点はたくさんあると思います。ともあれドラマの根幹は“どんな人物が何をするのか”にあります。小説や漫画など原作があるものは、そのクリエーティブのコア部分を原作に借りているわけで、特に漫画原作はビジュアルイメージもすでにあり、その度合いは高い。一方で、それを単純にシナリオ化して見せればドラマになるかというとそうでもない。制作サイドは、そこにいろいろな要素を盛り込んだり、ドラマ的なアレンジを加えたりします。いずれにせよ、原作者である漫画家がシナリオを書く事態にまでなってしまったことは、極めて異例なことです。やはり、プロデューサーなりが、そうした事態に陥る前に、原作者と脚本家の間に立って、丁寧に調整する作業が必要だったのではないでしょうか」
この問題、まだまだ関係各所に影響が広がりそうだ。