巨匠・山田洋次監督は、なぜ現在もコメディーにこだわるのか? 92歳で語った夢は
映画「男はつらいよ」シリーズなどで観客を泣き笑いさせてきた巨匠、山田洋次監督(92)が語った夢が話題だ。福島県葛尾村でのワークショップでこう言ったのである。
「笑って笑って、もうやめてくれと言いたくなるぐらい笑える映画がつくれれば。それが夢」
すでに数多くの名作コメディーを世に送り出してなお、こだわるのはどうしてか。山田監督はこう答えた。
「戦後のね、本当につらい時も、思わず噴き出す出来事があり、立ち直ることができたんです。人間を勇気づけるには笑いが一番。人を笑わせるのは難しく、思いやりがないとできないけれども、もし非常に的確な笑い話をして、彼が思わず笑ってしまうと、その笑いが彼を元気づける。思わず噴き出してしまう時にふと立ち直れる。客観的になれる。元気になれる。本当につらい時には、その人を笑わせるといいんですよ」
来る日も来る日も、暗いニュースばかり。それは混迷する政治、社会のなか、暗澹たる気持ちになる現代の人たちをおもんぱかっての「夢」なのかも知れない。