「おはよう日本」(後編)「あなたを見ていると憂鬱になる」というクレームも
最初の頃はテレビの前に何千万人もいるという感覚が薄くなる時がありました。
朝のニュースだとスタジオに出演者と制作スタッフで5、6人しかいませんから、大勢に見られているという感覚はなかなか持てないんですよね。考えすぎると緊張しますし。
「目の下にクマがある」とクレームが来る前は若気の至りで、「見た目よりも私は伝えたいニュースがあるのよ!」と考えていましたが、クレームが来てからは、見た目もきちんとしないと伝えたいことも伝わらないということに気づき、ちゃんとお化粧にも気をつけるように。
すると「今日の武内さんはとても明るい顔で、ホッとしました」というお手紙が来て、クレームから一転、応援団になってくれることもありました。
こちらの気持ち次第で視聴者の気持ちもやわらぐと知り、「一つ一つを大事にする」ということを「おはよう日本」で学びました。
放送するということには責任があり、でも、気にし過ぎると身動きがとれなくなる。そこのあんばいが若い頃は難しかったです。
「おはよう日本」まで朝ばかりだった私は、その後にいくつかの番組を経て「スタジオパークからこんにちは」へ。6月という改編期とはズレた時期の交代には同期の有働ちゃん(有働由美子)が突然ニューヨークに行くことがきっかけで……。
(構成=松野大介)