勘九郎・七之助がアウェイの明治座で躍動!歌舞伎らしい演目並べ正攻法でお客を圧倒
11月の歌舞伎座は例年なら「顔見世」で大幹部が揃うはずだが、今年は舞台機構設備の工事のため、「ようこそ歌舞伎座へ」という、インバウンドの外国人を含めた、歌舞伎初心者向きの特別公演。歌舞伎座の舞台機構を紹介する映像を中心にした案内と、尾上左近・中村歌昇・坂東亀蔵の『三人吉三巴白浪/大川端庚申塚の場』と、尾上松緑と4人の若手の『石橋』。
観客は入っていたし、松竹の狙い通り、外国人も多かったが、歌舞伎を見たことのない人が、「面白かった。また行こう」と思うかどうかは疑問。歌舞伎の凄さを感じさせるものがないのだ。外国人を含む歌舞伎初心者には、濃厚なドラマのある演目のほうがわかりやすいし、歌舞伎の魅力が伝わると思うのだが。
今月は明治座でも歌舞伎公演があり、中村勘九郎・七之助兄弟が座頭。若手を大役に起用している。
歌舞伎ファンではない、「明治座のお客様」という、この固有の観客も多い劇場だが、勘九郎・七之助は歌舞伎らしい演目を並べ、正攻法で臨んだ。その結果、歌舞伎をあまり見ない「明治座のお客様」までをも、歌舞伎の力で圧倒させていた。終演後、お客さんたちは興奮して語り、エスカレーターは賑やかだった。