天国と地獄はセット。地獄を恐れ、天国を味わわなくていいの?
たとえば、誰かを愛し、別れがやってきて、地獄の苦しみを味わうのは、その人によって天国も味わったからだ。
中山さんがこの言葉に心をえぐられたのは、彼女は知ってか知らずか、何度も天国と地獄を行き来していたってことなのだと思った。
そして、彼女はそのときそのとき、一生懸命であったに違いない。
地獄が素晴らしかったといえるのは、一生懸命であったからこそ。良いことや悪いことも含めての思い出や、当時滑稽だったかもと思える自分さえ、すべてを愛おしく感じたのでしょう?
この頃の若い人たちは、恋愛によって傷つきたくないという人が多いらしい。
もったいない。天国と地獄はセット。地獄を恐れ、天国を味わわなくていいの? 人生、一度きりなのに。
中山美穂さんを思い浮かべると、夢を見ているような濡れた大きな目から思い出す。
美しい人だった。あたしとおなじ54歳。冒頭の言葉が気に入ったのなら、もう一度、天国にいこうとしていたのかもしれぬ。彼女ならこれからも、何度も天国と地獄をトラベルできたろう。そのたび、泣いたり笑ったりして。あたしも彼女にあやかりたい。
ファンでした。ご冥福をお祈りいたします。