“大きさと暗さ”を纏う染五郎、圧倒的存在感を放つ白鸚、粗雑さ目立つ團十郎の忠臣蔵
新春浅草歌舞伎のメンバーが一新された。中村橋之助と中村莟玉だけが残り、新たに市川染五郎、中村鷹之資、尾上左近、中村玉太郎、中村鶴松が加わり、卒業組は歌舞伎座と新橋演舞場へ。
浅草の新メンバーで注目の的が染五郎で、『絵本太功記/尼ヶ崎閑居の場』の武智光秀を橋之助とダブルキャストで演じた。祖父からかなり鍛えられたようで、若さを感じさせない大きさと暗さがある。白鸚が元気なうちに『勧進帳』の弁慶を演じてほしい。一方、『棒しばり』では若さが爆発し、鷹之資とともに、スポーツのように軽やかに、かつコミカルに舞う。
歌舞伎座は前年までの浅草組が大活躍。昼の部最初の『寿曽我対面』では坂東巳之助が五郎、中村米吉が十郎、坂東新悟が大磯の虎という古典の大役。様式的な芝居だが、人間らしく演じるのでドラマとしてストレートに響いてくる。
中村隼人は夜の部最後にテレビでも演じている『大富豪同心』で一人二役。巳之助、米吉、新悟はこちらにも出ている。さあこれから面白くなりそうだ、というところで「続く」となったのには驚いた。