“大きさと暗さ”を纏う染五郎、圧倒的存在感を放つ白鸚、粗雑さ目立つ團十郎の忠臣蔵
発想が面白いと思って期待したが、成功とは言い難い。『仮名手本忠臣蔵』の物語を、昼の部と夜の部とで合わせて約4時間(休憩除く)に縮めるだけでも無理があるが、さらに「裏表」とあるように、「裏」の部分を加えているので、原作をかなり省略。よく言えばスピーディーなのだが、原作からなくなった部分ばかりを思い出してしまう。
芝居というのは本筋とは関係のなさそうな部分が重要なのだと、改めて思う。企画として欲張りすぎたのではないか。役者は皆、健闘。この顔ぶれで、ちゃんとした忠臣蔵を見たかった。
(作家・中川右介)