フジ港浩一元社長“被害女性に配慮”の欺瞞…中居正広を起用継続1年半「難しい判断」に透ける保身
会見は踊れど、されど進まず──。フジテレビが27日、東京・お台場の本社内で開いた「やり直し」会見は、午後4時に始まり、日をまたいで終了したのは28日午前2時24分。約15分の休憩を含め10時間24分にも及んだギネス級のロングランとなったが、説得力に乏しい釈明のオンパレードだった。元タレントの中居正広(52)の性的トラブルをめぐり、浮き彫りとなったのは、被害女性の立場を逆手に取ったフジ経営陣の「保身」。企業風土の刷新以前の問題だ。
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会見には、フリーランスや海外メディアを含む191媒体、437人が参加。黒山の記者席を囲むように配置されたテレビカメラなど撮影用機材は約40台にも及んだ。開始1時間前から会場内は人いきれでムンムンだった。
時に記者席から怒号が飛び交う、10時間超にも及んだ異例の会見で記者たちの追及の矛先はもちろん、中居と女性とのトラブルをめぐるフジの対応だ。同社の説明によれば、フジ社員がトラブルを把握したのは2023年6月。「極めて機密性が高い事案」として内密に管理し、辞任した港浩一社長に報告が上がったのは同年8月だった。社内でトラブルを知る人は数人だったという。
中居から意に沿わない性的行為を受けたと訴える女性に関し、港氏は「人権侵害が行われた可能性のある事案だ」とした上で、「対応の至らなさを痛感している。私自身の人権への認識が不足していた」と謝罪。「当該女性の気持ちを汲み取りきれず、深い失望を抱かせてしまった」「ご本人にお会いして直接おわびしたい」と反省の弁を述べた。
ところが、口をついて出る悔恨の言葉とは裏腹に、被害女性への杜撰な対応を言い繕うあまり、歯切れの悪さが終始目立った。
■まるで理屈が通らない
港氏らは、被害女性がトラブルを他者に知られずに復帰したいと希望していたと説明。医師の指示を仰ぎながら、女性の体調の把握とメンタルヘルスのケアを最優先に考えてきたというのだが、それならなぜ、中居の番組起用を延々と続けたのか。まるで理屈が通らない。
港氏がトラブルを把握してから、中居を司会にキャスティングした「だれかtoなかい」は今年1月22日の打ち切りまで1年半も続いた。昨年1月には性加害疑惑の渦中にいたダウンタウン・松本人志が前身である「まつもtoなかい」を降板。番組打ち切りの絶好のタイミングがあったにもかかわらず、だ。中居がMCを務めるスポーツ特番も平気で放送していた。
中居の起用を続けた理由について、港氏は「当初から番組終了を考えていた中で、被害女性のコンディションを常に意識していた」と明かす一方、「(番組を)やめるという『刺激』がどういう影響を与えるのか判断が難しいタイミングもありました」とゴニョゴニョ。被害女性に中居起用の是非を確認したこともなかったという。
なぜ番組を継続する方が被害女性への「刺激」が少ないと判断したのか──。その理由を日刊ゲンダイが聞くと、港氏は「(番組が)終わることが余計に刺激になるのではないか、そういう判断をしなければいけない時期もありました」「判断が難しい期間だった」と繰り返すのみ。これでは中居のキャスティングを最優先、被害女性は見殺しと受け止められても仕方ない。
結局、起用継続の真相究明は第三者委員会に委ねられる。異様な長丁場だったが、信頼回復の具体策は皆無。
こんな調子ではフジの刷新を期待する方が無理な話だ。
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