容姿優先、女子アナ上納、セクハラ蔓延…フジテレビはメディアではなく、まるでキャバクラ状態だった
“カトパン”が復帰先を変えたのも当然
Aから中居に内容証明郵便が届くと、Bはフジの番組に出ている弁護士まで紹介していた。Aが「ここに私の居場所はない」と諦めて2024年8月に退職すると、中居はBに「ひと段落ついた感じかな。色々たすかったよ」と送り、Bは「引き続き、何かお役に立てることがあれば、動きます」と返していた。
第三者委は、「今回の事案以外にも、社員やアナウンサーを性別・年齢・容姿などに着目して取引先との会合に呼ぶことや、セクハラ行為を伴う飲み会などが存在。全社的にハラスメント被害が蔓延していた」と認定した。
先のBは以前にも、番組出演者の飲み会に女性社員を呼び、彼女だけを残して帰ってしまった。すると、出演者は突然彼女の前で下半身を露出したという。
また、現在、BSフジ「プライムニュース」のキャスター反町理は、後輩女性社員2人に対するセクハラがあったのに、文春が報じると、幹部たちが彼女たちを威圧的な態度で口止めし、反町は取締役まで昇進した。多くのセクハラ被害を受けた女性社員は泣き寝入りするしかなかったのである。
「セクハラは文化」という企業風土をつくってきたのは日枝久取締役相談役(当時)であることは間違いないが、ガバナンス機能不全に陥って失敗を繰り返してきた取締役会のメンバー全員にも責任があると結論付けた。
フジはメディアだと私は思っていたが、違った。大規模な“キャバクラ”だったのだ。
清水賢治社長は報告書を待たずに日枝ら取締役を入れ替えた。取締役の女性比率を上げる、セクハラに対する研修会を実施するなどの案を示し、刷新すると意気込むが、その程度のことでここまで進んだ腐敗が一掃されるとは到底思えない。
フジから女性アナたちが相次いで退社している。かつて「カトパン」といわれフジの人気アナだった加藤綾子(39)が、育休明けの復帰番組をテレビ東京にしたのは象徴的である。
フジが存続したいのなら、いっそ社員全員を男にしたらどうか。そうなると熟女タレントたちの餌食になるかもしれないが……。 (文中敬称略)
(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)