指示役が「ルフィ」と名乗った狙い? 実行犯たちの良心の呵責を削いだと心理学者が指摘
死者まで出ているだけに事件の凶悪性は明らかだが、米国心理学博士の鈴木丈織氏は「メディアが容疑者を漫画キャラクター呼ばわりすると、どうしても凶悪事件の印象が軽減されてしまう」としつつ、一連の犯罪についてこう指摘する。
「今回の一連の事件の指示役は、実行犯が強盗を行う際の『良心の呵責』が強まらないようにするために、『ルフィ』という名前を意図的に使ったと考えられます。『ワンピース』では『ルフィ』はヒーローですから、それを連想させることで実行犯に自身をルフィの部下だと錯覚させ、『そんなに悪いことをしているわけではない』という思い込みを与え、凶悪な犯行を実行しやすくしたのでは」
■グリコ森永事件では「かい人21面相」が盛んに使われる
加えて鈴木氏は、メディアが「ルフィ事件」などと称することには「別の意味」もあると指摘する。
「呼称がキャッチーなことから、事件を忘れにくくなるという効果もあるのです。事件を将来振りかえる際、知名度の高い『ワンピースのルフィ』と結びつくからです。ただ、それでも事件の印象が軽くなるという悪影響は確実にあるので、実名のみの報道に切り替えるべきでしょう。現状の報道が続く限り、メディアがふざけているという印象を抱く方が出てくるのはもっともなことです。そもそも日本には窃盗を『万引き』、恐喝や暴行を『いじめ』と称するなど、悪事を矮小化してしまうことがありますから」