著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

血圧の変動が大きいとアルツハイマー型認知症になりやすい

公開日: 更新日:

 認知症を予防するためには、「血圧は高い方がいい」のでしょうか、それとも「低い方がいい」のでしょうか? 

 これはまだ完全には解決していない問題です。認知症には隠れ脳梗塞のような病気によって起こる「脳血管性認知症」と、アルツハイマー型認知症のような「脳の変性による認知症」があります。このうち脳血管性認知症については、血圧が高いほど起こりやすいことが分かっています。ただ、いったん認知症になってしまうと、血圧を下げることがかえって進行を早めてしまう可能性もあります。一方で、それ以外の認知症については、血圧の高さと病気との関係はあまりはっきりとはしていませんでした。

 そして、アルツハイマー型認知症と関連があるとの指摘が増えているのが、「毎日の血圧の変動が大きいこと」です。最近では「久山町研究」という日本の有名な臨床研究において、「血圧の変動が大きいと全ての認知症の危険性が2倍以上増加した」という結果が報告されています。血圧が高いほど多かったのは、やはり脳血管性認知症だけでした。

 今のところ、血圧が高くなったり低くなったりすることを確実に治す治療はありません。しかし今後、そのメカニズムが研究されると、アルツハイマー型認知症の予防に結び付く発見があるかもしれません。

【連載】医者も知らない医学の新常識

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  2. 2

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  3. 3

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  4. 4

    ドジャース内野手ベッツのWBC不参加は大谷翔平、佐々木朗希、山本由伸のレギュラーシーズンに追い風

  5. 5

    「年賀状じまい」宣言は失礼になる? SNS《正月早々、気分が悪い》の心理と伝え方の正解

  1. 6

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  2. 7

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  3. 8

    維新のちょろまかし「国保逃れ」疑惑が早くも炎上急拡大! 地方議会でも糾弾や追及の動き

  4. 9

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  5. 10

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方