認知症だと思っていたら肝性脳症 その症状と検査法を知る
「肝性脳症は症状の程度によってⅠ度からⅣ度に分類されます。Ⅰ度の前段階が潜在性肝性脳症で、20%が半年以内に症状が進んだⅡ度へ移行するといわれています」
Ⅱ度まで進むと「時間・場所がわからなくなる」「物の取り違え」「お金をまく、化粧品をゴミ箱に捨てるなどの異常行動」「眠りに陥りがちでうとうとしている」などの症状が顕著になる。交通事故や日常での転倒・転落につながりやすく、こうなる前に手を打つことが重要だ。
■通常の診察では見過ごされる
潜在性も含め肝性脳症を調べる検査は、血液中のアンモニア濃度測定検査と行動で認知機能を測るテスト。後者はランダムに散らばった番号を1から順に線で結ぶ時間を測定するナンバーコネクションテストや、ブロックを見本と同じ組み方に並べるテストなどだ。
「ただし、これらは肝臓専門医が管理している状況では行われますが、現実には実施されずに肝性脳症が見落とされているケースも多い」
肝硬変は前述の通り、慢性肝炎から徐々に進行して発症する。その原因はC型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、アルコール。さらに近年は、肥満などアルコール以外の原因が関係して発症する非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)も問題視されている。