前立腺がん手術後 尿のじゃじゃ漏れ防ぐ唯一の治療法とは
人工括約筋埋め込み手術は、前立腺がん術後、1年ほど経過した辺りから検討される。手術は全身または腰椎麻酔下で、会陰部と下腹部を5センチほど切開し、人工括約筋を埋め込む。
手術時間は、増田科長のようなベテラン医師で60~80分。入院期間は約1週間だ。
人工括約筋は、「尿道を圧迫する液体が入ったカフ」「陰嚢内に留置するコントロールポンプ」「圧力調整をするバルーン」の3つのパーツで構成され、これらはチューブでつながっている(図参照)。
埋め込み後6~8週間経ってから使用可能だ。カフは尿道の周りに巻き付いて、拡張期血圧(下の血圧)よりやや低めの70㎜Hg程度の圧力で、尿道を圧迫し、尿が漏れないようにする。排尿時には、ポンプを陰嚢の外から押す。するとカフのチューブの液体がチューブを介してバルーンへ移動し、尿道にかかる圧が弱まり、排尿できる。
排尿後は1~2分で液体がバルーンからカフへ戻り、尿道に圧をかけ、尿が漏れないようになる。
「医療機関によって差はありますが、平均して3~5年で25%が人工括約筋が使えなくなります。このうち10%が故障で、取り換えればいいので継続使用ができます。5%が感染で、いったん人工括約筋を取り出し数カ月後に施術を行う。残り10%が尿道の萎縮などで、これも人工括約筋の設置場所を変えることで対処できます」