発症から5年以内が危険 脳卒中後は自殺リスクが10倍に
■自殺を図った人たちの特徴は?
そのヒントになるのがスウェーデンでの研究だ。2001年から12年までに登録された同国の脳卒中患者のデータベースを使い、脳卒中発症後の自殺または自殺未遂の人数を調べた。約22万人の脳卒中患者のうち登録期間中に1217人が自殺を図り、うち260人が死亡した。スウェーデンの自殺率の2倍近くに相当した。
「この調査では、自殺を図った人の特徴を分析しています。①18歳から54歳までの比較的若い人は85歳以上の人に比べて5・89倍も高い②一人暮らしが多い③女性より男性が目立つ④脳卒中の症状が重い⑤脳卒中後にうつ病を発症⑥大学卒業者より初等・中等教育卒業者が多い⑦脳卒中を発症して2年後に集中している――などです。もちろん、これらの特徴はスウェーデンでのもので日本にそのままあてはまるわけではありません。しかし、ヒントにはなるはずです」(林院長)
WHO(世界保健機関)によると、自殺が起こると、最低でも6人、職場や学校では数百人に深刻な影響を及ぼすという。集団の士気が下がるだけでなく、自殺が新たな自殺を呼ぶこともある。身近に脳卒中の人がいたら、日頃から注意を向けることだ。