新郷博士の実験では血糖値が正常の“脳だけ糖尿病”ラットをつくり、その脳内に持効性インスリンを1回注入したところ低下していた空間認知機能が改善して正常になった。その後、このラットを解剖すると脳内でAβが増加していたという。
「私は、“ADの原因が脳内に蓄積したAβにある”ことを否定しません。ただ、その大本には海馬を中心とした脳内でのインスリン抵抗性にあると考えています。ですからADの根本的治療は新薬がなくても可能で、糖尿病の薬を適切に使用してその効果を数量表示可能な画像診断により経過追究的に確かめることが大事だと思います」