胃がん<1>手術は大きな違いはないが薬物治療は進歩している
診療ガイドラインはあくまでも指針であって、強制力はありません。それに統計に基づいてつくられていますから、個々の患者に本当に有効かは保証の限りではありません。しかし、確率論的に考えれば効く可能性が最も高いわけですから、これに準拠して治療を行う医師が増えています。その結果、全国どこでも同じレベルのがん治療が受けられるようになり、地域格差が薄まってきました。
進歩の速い領域では、診療ガイドラインが頻繁に更新されています。「胃癌治療ガイドライン」の第1版が出たのは2001年、最新版は第5版(2018年)です。胃がんの手術はほぼ確立されているため、違いはほとんどありません。
しかし、薬物療法が大きく進歩してきました。今回は過去と現在のガイドラインを比較して、なにがどう変わったか見ていきたいと思います。