長芋は皮を薄くむいたら洗わず 豊富な栄養と風味を逃さない

公開日: 更新日:

シメには米より少々の芋がよい根拠

 日本人の主食は米だが、ヨーロッパやロシアなどでは芋が主食である。米や小麦などの穀物と、ジャガイモ、サツマイモ、あるいは今日のテーマである長芋などの芋類とでは主食として何が違うのだろうか。

 カロリー源としてのデンプンをたくさん含むこと、タンパク質も十分含んでいることはほぼ同等である。違いは、芋類の方が大量の水を含んでいるということ。長芋のネバネバ成分も食物繊維に保持された水分が多いゆえのもの。なので、同じカロリーを摂取しようとすると、芋の方がたくさん食べないとならないことになる。

 これは現代人にとってはかえって都合がよい。低炭水化物ダイエット法を励行して、米を食べないようにしている人が時々いるが、シメにごはんを食べないのは物足りないもの。また、カロリー不足を補うため、結局その分、他のもの(肉や魚)を多く食べてしまうので、タンパク質や脂質が過剰になりがち。そんなことなら芋を少々食べた方がよい。炭水化物を食べた満足感もあり、またカサが大きい(水分が多い)ので食べ過ぎることもない。

 長芋はそのまま短冊にして食べても、とろろにすりおろしても、あるいはお好み焼きに入れても(水分が多いのでふんわり焼き上がるので)おいしい。日本の食文化の中で育まれた、変化に富む優れた栄養食材である。

▽福岡伸一(ふくおか・しんいち)1956年東京生まれ。京大卒。米ハーバード大医学部博士研究員、京大助教授などを経て青学大教授・米ロックフェラー大客員教授。「動的平衡」「芸術と科学のあいだ」「フェルメール 光の王国 」をはじめ著書多数。80万部を超えるベストセラーとなった「生物と無生物のあいだ」は、朝日新聞が識者に実施したアンケート「平成の30冊」にも選ばれた。

※この料理を「お店で出したい」という方は(froufushi@nk-gendai.co.jp)までご連絡ください。

【連載】ようこそ!不老不死レストランへ

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動