著者のコラム一覧
尾上泰彦「プライベートケアクリニック東京」名誉院長

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

HIVは治療すればうつらない「検出限界値未満」になればOK

公開日: 更新日:

 英語の頭文字をとった言葉で、「U=U」と表すメッセージをご存じでしょうか。直訳すると「検出限界値未満(Undetectable)=感染しない(Untransmittable)」という意味です。

「検出限界値未満」とは、血液中のHIV(ヒト免疫不全ウイルス)量のことを指しています。つまり、「HIV陽性者になっても治療を受けていれば、パートナーに感染させてしまうことはない」という科学的根拠(エビデンス)に基づいた情報です。このメッセージを広めるため、いま世界中でキャンペーンが展開されています。

 これまでHIV陽性者は、大切なパートナーにHIVを感染させてしまうのでは、という不安や恐怖を感じながら性生活を送ってきました。周囲の人も古い知識や情報によって過度に感染を恐れて、HIV陽性者を差別するようなことも起きていました。また、このようなことがあると感染リスクの高い人がHIV検査を受けないということも起こります。エビデンスに基づいた最新の情報を広く知ってもらうことはHIV予防にもつながるのです。

 では「U=U」とは、どのような状態なのか説明しましょう。HIVの治療は、ウイルスの増殖を抑える抗HIV薬を内服するだけです。この薬を毎日欠かさず飲み続けていると、多くの場合は1~6カ月後に血液中のウイルス量が検出限界値未満に減少します。

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