大人のおたふく「子種が全滅して子どもができなくなる」はウソ
男性の患者さんから「大人になってからおたふく風邪にかかると、子種がなくなるというのは本当ですか」と、よく質問されます。答えは「合併症を起こすと可能性がある」です。
おたふく風邪はムンプスウイルスの感染で起こり、正式には「流行性耳下腺炎」と呼びます。主な感染経路は、インフルエンザなどと同じで飛沫(ひまつ)感染と接触感染です。多くは子供の頃にかかり、一度感染すると免疫ができるので基本的に再感染はしません。ですから子供の頃に感染しないまま大人になると、子供がもらってきたウイルスに感染して発症する場合があるのです。大人になってから発症した方が、症状が重くなる傾向があります。
ムンプスウイルスの感染しやすい部位が唾液を分泌する唾液腺で、そのため頬や顎の下などが腫れるのです。しかし、唾液腺以外にも、髄膜や内耳、精巣、卵巣、膵臓(すいぞう)などにも感染しやすく、増殖したウイルスが血流に乗って、これらの臓器に感染すると合併症を引き起こすのです。
子種がなくなる可能性が出てくるのは、合併症のひとつ「精巣炎」になった場合です。男性が思春期以降におたふく風邪にかかると起こることがあり、合併率は20~30%といわれています。