“袋”に水がたまる「陰嚢水腫」って何?精巣がんとの違いは
信楽焼のタヌキの置物があると、大きくダラリと垂れた“タマ袋”につい目が行ってしまいます。お金が貯まる金運を表しているようですが、あまり格好がいい姿とはいえません。
しかし、人間にもタマ袋(陰嚢=いんのう)が大きく腫れて見える「陰嚢水腫」という病気があります。炎症を起こして腫れているわけではありませんので、痛みもなく、命に関わることもありません。タマ袋の中に何がたまって大きくなるかといえば、「腹水」と呼ばれる水(体液)です。
特に乳幼児によく見られる病気ですが、大人になってから発症する場合もあります。乳幼児に見られるのは、先天的(生まれつき)に起こるタイプの陰嚢水腫です。
男性の睾丸(こうがん=精巣)は、胎児の頃はおなかの辺りで形成されます。それが下降して腹膜の一部とくっついて、徐々に股の付け根の方に移動していき、陰嚢の中に納まります。正常なら睾丸によって引っ張られた腹膜は突起状になって閉じますが、それが閉じずに交通路が残ってしまうと腹水が流れ込んで陰嚢にたまるのです。これを「交通性陰嚢水腫」と呼びます。