交通事故は10~12月に急増 「暗いと見えづらい」に潜む病気
「夜盲症には先天性のものと後天性のものがあります。先天性はさらに非進行性と進行性に分かれます。前者は先天停在性夜盲、小口病、眼底白点症などが原因で保護者が気づいて3~6歳ごろに受診することが多い。先天的な進行性の夜盲症は、青年期までに自覚するが、成人以降での発症も珍しくありません。例えば子どもの頃から始まり、徐々に視野が狭窄して視力も低下していく網膜色素変性症はその代表です」
■消化器手術が原因になる場合も
一方、後天性の夜盲症では、成人以降に急激な夜盲を自覚することが多く、日本では腹部や消化器の手術後のビタミンA並びにE欠乏による夜盲症などが知られている。
気をつけたいのはがん患者のなかに、中枢神経系へのがん転移ではなく、種々の中枢神経症状を呈することがあることだ。
「これを悪性腫瘍随伴神経症と呼び、このなかで網膜視細胞の障害を呈するものをがん関連網膜症(CAR)といいます。CARを引き起こす原発がんは小細胞肺がんが最も多く、次いで消化器系および婦人科系のがんが多いといわれています。CARは網膜色素変性症によく似た症状、すなわち杆体視細胞障害に基づく視感度の低下、視野狭窄などの症状があります。また、原発巣のがんが発見される前に網膜症症状を呈することから、がんの発見につながる可能性もあります。私も大学にいたころ胸腺腫瘍で同じような例を経験したことがあります」