便の検査で血が混じったら「どこからの出血なのか」が問題
■現在の便潜血反応の検査法は日本人医師が開発
便の色が黄色であっても、ごくわずかに血が混じることがあります。出血があるかないかの検査を「便潜血反応」と呼びます。陽性の場合は、「どこからの出血なのか」が問題です。
胃や十二指腸については、内視鏡かエックス線造影検査で調べます。もし、胃や十二指腸に問題がなければ、大腸からの出血が疑われます。便潜血反応は、大腸がんスクリーニング検査としても使われていて、2日間(2回)のうち1回でも陽性なら、大腸の内視鏡検査が勧められます。
もちろん、潜血が陽性でもがんとは限りません。大腸ポリープ、大腸憩室出血、潰瘍性大腸炎などの場合もあります。逆に、便潜血反応が陰性でも大腸がんが潜んでいることがあり、まったく安心というわけではありません。大腸の内視鏡検査では、大腸に便がない状態にしなければなりません。そのため、2日ほど前から下剤などの前処置が必要です。
昔の便潜血反応では、食べた肉などに含まれる動物の血液が便に混じると、陽性になっていました。しかし、弘前大学(当時)の斎藤博先生(青森県立中央病院消化器内科医療顧問)が、自分の体から血が出ている場合にのみ陽性となる「免疫学的便潜血反応」を世界で初めて開発し、これが現在の検査法になっています。
近年、日本では胃がんは減っていますが、大腸がんは増えています。早期に見つけるためにも、まずは便潜血反応の検査が大切です。