著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

「うま味」を感じにくい人は太りやすい 日本で解析報告

公開日: 更新日:

 人間の味覚は「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」の5つに分類することができます。うま味とは主にアミノ酸の一種であるグルタミン酸という成分を食べたときに感じる味覚です。うま味調味料として知られる「味の素(R)」は、このグルタミン酸を主原料としています。

 近年いくつかの研究で、うま味を感じることが食事から得られる満足度や食事量にも影響する可能性が示されてきました。そんな中、うま味の感度と食事の嗜好や摂取量との関連性を検討した研究論文が、日本高血圧学会誌の電子版に2020年12月7日付で掲載されました。

 この研究では47人の日本人(平均37・4歳)が対象となりました。被験者は味の素(R)を溶かした液体(0・03%味の素(R)水溶液)1ミリリットルを口に含んでもらい、味を感じた人(25人)と感じなかった人(22人)に分けられています。また、食事に関するアンケート調査を行い、うま味の感度と甘味の嗜好や摂取カロリー、肥満(体格指数[BMI]で25以上)の有無などの関連性が解析されました。

 その結果、肥満は、うま味を感じていた人で11・5%、感じていない人で36・4%と、うま味の感度が低い人で多いという結果でした。また、甘味を好む人についても、うま味を感じていた人で33・3%、感じていない人で71・4%と、うま味の感度が低い人で多いことが示されています。さらに1日のカロリー摂取量が増加した人についても、うま味の感度が低い人で多いという結果でした。

 うま味の感度と肥満に直接的な関連があるとは言い切れませんが、うま味を感じにくい人では、食事による満足感を得るために甘味の強い食事を摂取しがちなのかもしれません。それゆえ、カロリー摂取も増え、肥満になりやすいと考えることもできます。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  2. 2

    「年賀状じまい」宣言は失礼になる? SNS《正月早々、気分が悪い》の心理と伝え方の正解

  3. 3

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  4. 4

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 5

    国民民主党・玉木代表「ミッション・コンプリート」発言が大炎上→陳謝のお粗末…「年収の壁」引き上げも減税額がショボすぎる!

  1. 6

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  2. 7

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  3. 8

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  4. 9

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  5. 10

    楽天が変えたい「18番は田中将大」の印象…マエケンに積極譲渡で“背番号ロンダリング”図る