「うま味」を感じにくい人は太りやすい 日本で解析報告
人間の味覚は「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」の5つに分類することができます。うま味とは主にアミノ酸の一種であるグルタミン酸という成分を食べたときに感じる味覚です。うま味調味料として知られる「味の素(R)」は、このグルタミン酸を主原料としています。
近年いくつかの研究で、うま味を感じることが食事から得られる満足度や食事量にも影響する可能性が示されてきました。そんな中、うま味の感度と食事の嗜好や摂取量との関連性を検討した研究論文が、日本高血圧学会誌の電子版に2020年12月7日付で掲載されました。
この研究では47人の日本人(平均37・4歳)が対象となりました。被験者は味の素(R)を溶かした液体(0・03%味の素(R)水溶液)1ミリリットルを口に含んでもらい、味を感じた人(25人)と感じなかった人(22人)に分けられています。また、食事に関するアンケート調査を行い、うま味の感度と甘味の嗜好や摂取カロリー、肥満(体格指数[BMI]で25以上)の有無などの関連性が解析されました。
その結果、肥満は、うま味を感じていた人で11・5%、感じていない人で36・4%と、うま味の感度が低い人で多いという結果でした。また、甘味を好む人についても、うま味を感じていた人で33・3%、感じていない人で71・4%と、うま味の感度が低い人で多いことが示されています。さらに1日のカロリー摂取量が増加した人についても、うま味の感度が低い人で多いという結果でした。
うま味の感度と肥満に直接的な関連があるとは言い切れませんが、うま味を感じにくい人では、食事による満足感を得るために甘味の強い食事を摂取しがちなのかもしれません。それゆえ、カロリー摂取も増え、肥満になりやすいと考えることもできます。