「アスピリン」の意外な効果 大腸がんの予防薬になるか?

公開日: 更新日:

 前述の通り、FAP患者はAPC遺伝子の異常でポリープが100個以上できるわけだが、数を別にすれば、一般の大腸がんでも「APC遺伝子が正常に働かないため大腸ポリープができ、炎症が次の過程を招いてがん化」という点は同じ。

「アスピリンには抗炎症、抗酸化、APC遺伝子変異によるシグナル異常改善効果があり、大腸ポリープの生成を抑制することは、世界の大きな4つの研究でも、私たちの14年の研究でも実証されています。そこで大腸を温存しているFAP患者の5ミリ以上のポリープを可能な限り摘除し、低用量アスピリン1日100ミリグラムと、アスピリンとは違う作用機序で大腸の炎症を抑える薬メサラジン1日2グラムを服用してもらい追跡調査しました」

 結果、8カ月間で大腸ポリープの増大リスクが約6割低下。アスピリンとメサラジンの相乗効果については有意差が出なかった。重篤な副作用はなかった。

 今回の研究は対象者が102人だったが、アスピリンを日本初のがん予防薬として承認されるために、人数を増やし今後も研究が行われる。予防薬として承認されれば、一般的な大腸がんにおいても、予防薬として応用展開されていく可能性がある。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンに日韓戦への出場辞退相次ぐワケ…「今後さらに増える」の見立てまで

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    “新コメ大臣”鈴木憲和農相が早くも大炎上! 37万トン減産決定で生産者と消費者の分断加速

  4. 4

    侍J井端監督が仕掛ける巨人・岡本和真への「恩の取り立て」…メジャー組でも“代表選出”の深謀遠慮

  5. 5

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  1. 6

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    矢地祐介との破局報道から1年超…川口春奈「お誘いもない」プライベートに「庶民と変わらない」と共感殺到

  4. 9

    渡邊渚“逆ギレ”から見え隠れするフジ退社1年後の正念場…現状では「一発屋」と同じ末路も

  5. 10

    巨人FA捕手・甲斐拓也の“存在価値”はますます減少…同僚岸田が侍J選出でジリ貧状態