「水疱性類天疱瘡」は湿疹や蕁麻疹と誤診されると重症化の恐れ

公開日: 更新日:

 治療はステロイドの外用薬や内服が中心で、炎症を抑えて、抗体ができないようにしていきます。ステロイドのみで症状が抑えきれない場合は免疫グロブリンを大量に注射する方法もあります。それでも効果がなければ抗体を血液ごと除去する、血漿交換療法を行うこともあります。これは大掛かりな治療法となりますが、極端に言えば、ここまでしなければ症状が治りにくい病気でもあるのです。

 さらに厄介なのがステロイドによる治療の副作用です。高血圧、免疫力の低下、骨粗しょう症、うつ病などさまざまな副作用があります。また、ステロイドには食欲増進という副作用があり、糖尿病の患者さんにとっては悩ましいものです。しかも、高齢の方が悪化して入院治療をするとなると、入院中に足腰が弱って寝たきりになるリスクが上がります。

 ですから、湿疹が出始めた初期の段階で正しい治療に入ることが、とても大切なのです。

 早期に治療を始めると寛解に近い状態まで持っていくことも可能です。水ぶくれができたら放置せずに皮膚科にかかること。治療を受けてもなかなか良くならない場合は、皮膚を取って調べることができる病院へ紹介してもらってください。

 これらが、水疱性類天疱瘡治療の重要なポイントです。コロナで病院に行きにくいとは思いますが、水疱性類天疱瘡は厄介な病気ですので、早めに皮膚科を受診しましょう。

日本大学医学部付属板橋病院皮膚科病棟医長・葉山惟大医師(皮膚科専門医)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手

  4. 4

    早大が全国高校駅伝「花の1区」逸材乱獲 日本人最高記録を大幅更新の増子陽太まで

  5. 5

    timelesz篠塚大輝“炎上”より深刻な佐藤勝利の豹変…《ケンティとマリウス戻ってきて》とファン懇願

  1. 6

    早瀬ノエルに鎮西寿々歌が相次ぎダウン…FRUITS ZIPPERも迎えてしまった超多忙アイドルの“通過儀礼”

  2. 7

    国民民主党“激ヤバ”女性議員ついに書類送検! 野党支持率でトップ返り咲きも玉木代表は苦悶

  3. 8

    池松壮亮&河合優実「業界一多忙カップル」ついにゴールインへ…交際発覚から2年半で“唯一の不安”も払拭か

  4. 9

    波瑠のゴールインだけじゃない? 年末年始スクープもしくは結婚発表が予想される大注目ビッグカップル7組総ざらい!

  5. 10

    アヤックス冨安健洋はJISSでのリハビリが奏功 「ガラスの下半身」返上し目指すはW杯優勝