悲劇を生まないために「延命」「緩和」の意味を知っておく 在宅診療の名医が語る
脳死の状態なのに無理やり人工呼吸器が付けられる、自然な老衰の人に無理やり胃ろうの手術をする、看取りが近い人に食事が食べられないからと点滴をする、などがこれにあたる。
これらは患者の自然の死を阻害して患者を苦しめるばかりか、長期間の介助を強いられる家族をも苦しめることになる。
ただ、ここで気をつけたいのは医療は日進月歩で進化しているということ。私たちが知るかつての医療常識と今とでは大きく異なる。延命の意味を想像で解釈するのは危険だ。
たとえば、最近は「胃ろうは絶対やめて欲しい」という患者や家族が多いという。スパゲティ症候群をイメージするからだ。
これは点滴や呼吸を補助する人工呼吸器のチューブ、尿を採るバルーンなどの管、脈拍や血圧を調べるためのチューブ類を何本も体に付け、ほとんど意識のないまま長期間にわたってベッドに寝かされている状態を指す。
生きてはいるが、意思を示すことはない。装置を外さない限り何年にもわたって呼吸し続ける。