悲劇を生まないために「延命」「緩和」の意味を知っておく 在宅診療の名医が語る

公開日: 更新日:

 患者の死期が近づくと、医師や家族が「延命」や「緩和」を口にする。しかし、その意味を十分理解しないと、患者はもちろん、その家族にとって看取(みと)りが苦痛になりかねない。1000人の在宅患者を抱え、毎年200人の看取りを行う「しろひげ在宅診療所」(東京・江戸川区)の山中光茂院長に話を聞いた。

 ◇  ◇  ◇

「この中で延命を希望しない人はどれくらいいますか?」

 山中院長が在宅診療に関する講演会でこう質問をすると、多くの人が手を挙げるという。ところが、「じゃあ、ここで暴漢が入ってきてあなたの胸をぐさっと刺しても、私はニコニコ見守らせてもらいますね」と話すと、笑いが起きて「それはまた違うでしょ」との声が必ず上がるという。

「同じ延命でも、“老化”による全身の衰えで寿命が尽きる直前の場合と、“病気”により一部の機能が衰えてしまう場合への対応ではまったく意味が異なります。私の質問と返しに笑いが起きるのは、多くの人がその違いを知っているからです。ところが実際の医療現場では、患者の家族は死んで欲しくないとの強い思いから2つの延命が混同され、悲劇を生むことがある。注意が必要です」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    べた褒めしたベッツが知らない、佐々木朗希"裏の顔”…自己中ぶりにロッテの先輩右腕がブチ切れの過去!

  2. 2

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 3

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  4. 4

    巨人・田中将大“魔改造”は道険しく…他球団スコアラー「明らかに出力不足」「ローテ入りのイメージなし」

  5. 5

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  1. 6

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  2. 7

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…

  3. 8

    佐々木朗希を徹底解剖する!掛け値なしの評価は? あまり知られていない私生活は?

  4. 9

    大阪・関西万博の前売り券が売れないのも当然か?「個人情報規約」の放置が異常すぎる

  5. 10

    僕に激昂した闘将・星野監督はトレーナー室のドアを蹴破らんばかりの勢いで入ってきて…