悲劇を生まないために「延命」「緩和」の意味を知っておく 在宅診療の名医が語る
「緩和」もまた医師と患者と家族がその意味を共有すべき言葉だ。
「在宅診療の現場では、末期がんの患者さんに対して『緩和医療』をしっかりと行います。それはひとつの医療技術の集大成であり、その高度の医療を患者のために精いっぱい提供しているのです。ところが、患者さんやその家族の方は痛みや苦しみを『緩和』する治療を、なぜか延命を諦めること、治す努力をやめることだと考えてしまう。在宅で緩和に携わる医師のほぼすべてが緩和をしながらも可能な限り『延命』につなげたいと思っています。抗がん剤や手術が延命につながることもあれば、それが単に患者を苦しめて命を縮めてしまうことも少なくありません。積極的治療をしないという選択が『延命』につながることもあることをわかって欲しい」
誰もが「限られた命」の中で生きる。患者はもちろん、医師も家族もそれをどのようにステキに「延命」できるのか、妥協せずに考えることが大切なのである。