抗ヒスタミン薬の副作用 眠気と口渇感は「食べる」に悪影響を与える
さらに、唾液は味覚にも必須です。じつは、われわれは食べ物そのものだけでは味を感じることができません。唾液に味の成分が溶け出して、それが味を感じる細胞に到達することで初めて味を感じることができるのです。つまり、唾液が出なくなるということは、味覚障害の原因になります。一度「おいしくない」と思ったものは、次からは食べたくなくなるのが普通です。「大好きなものを食べたけれど、砂を食べているようだった」となったら、嫌いになってしまう人もたくさんいるでしょう。味覚の異常は「食べる」ことに直結する極めて重要な問題なのです。
このように、抗ヒスタミン薬も副作用である眠気や口渇感は、「食べる」ことにかなり影響してしまいます。元気な高齢者に共通している特徴のひとつに「しっかり食べている」ことが挙げられます。抗ヒスタミン薬でかゆみを止めることも大切ですが、元気に「食べる」ことはそれ以上に重要ではないでしょうか。
もちろん、疾患によってはそういったクスリを使い続けなければならないものもあります。でも、そうではないケースも多いでしょう。今回、紹介したのはあくまで一例に過ぎませんが、そのクスリを使い始めた理由をいま一度考えてみましょう。そして、症状が改善したのにダラダラと続けているクスリがないかどうかも確認してください。
もしかしたら、そういったクスリが「食べる」などの大事な日常生活のひとつに悪影響を及ぼしているかもしれません。