夏の脳梗塞…後遺症を残さない血栓回収療法は時間との勝負
全国各地で気温40度前後の猛暑日が続いている。暑い夏は熱中症だけでなく脳梗塞のリスクも高くなる。2023年に発表された脳卒中データバンクの資料によると、一年のうち脳梗塞の症例数が最も多かったのは6~8月だと報告されている。一宮西病院脳神経外科副部長の伊藤圭佑氏に聞いた。
脳梗塞とは、脳の血管に血栓が詰まる病気だ。動脈硬化が原因で脳に行く太い血管に血栓ができる「アテローム血栓性脳梗塞」と、非常に細い脳の血管が詰まる「ラクナ梗塞」のほか、心房細動によって心臓でできた血栓が脳の血管に詰まる「心原性脳塞栓症」に分けられる。
「夏場に見られる脳梗塞で多いのが、アテローム血栓性脳梗塞とラクナ梗塞です。大量に汗をかいて脱水状態になると、血液中の水分量も減少するので血液が濃縮されてドロドロになります。そうすると血流が悪くなって血栓が作られやすい。糖尿病や高血圧、脂質異常症のほか、喫煙や多量の飲酒によって動脈硬化が進むと、脳梗塞を引き起こしやすくなるのです」
脳梗塞の初期症状は、片側の手足のしびれや麻痺、額や口角が下がる顔面神経麻痺、ろれつが回らない構音障害、言葉が出てこない失語障害が特徴だ。ほかにも、めまいやふらつきなどが挙げられるが、これは熱中症の症状のひとつでもある。