著者のコラム一覧
王瑞霞医学博士、中医師、鍼灸師

日本医学柔整鍼灸専門学校鍼灸学科専任教員。中国山東中医薬大学卒業。中国北京中医薬大学大学院修了。日本大学医学部医学博士。鍼灸師、登録販売士。

漢方薬にも「劇薬」はあるのか トリカブトの根を乾燥させたものも

公開日: 更新日:

 劇薬とは一般的に、激しい薬理作用を持つために使用量を誤ると生命にかかわる薬物のこと。日本では厚生労働大臣により指定されています。

 実は漢方薬の中にもその劇薬はあります。代表的なところでは附子という植物の塊根を粉末にした生薬です。このブシの俗名はトリカブト。聞き覚えのある方も多いでしょう。

 主成分に猛毒性のアコニチン系アルカロイドを含み、使用を誤ると舌や手足のしびれ、嘔吐、腹痛、下痢、動悸、血圧の低下などを起こし、けいれんや呼吸不全を経て死に至ることがあります。扱いに注意が必要な漢方薬になります。

 附子は伝統的に「全身の陽を振るわせる」と重宝され、新陳代謝の機能が極度に衰弱した時や重症な冷え、頑固的な四肢のまひや関節痛などに処方されてきました。劇性及び毒性については古くから認識されており、煎じ薬の場合は通常より倍以上の時間で煎じたり、加工を加えたりして、弱毒化する工夫を凝らしながら使われてきました。

 この附子が入っている医療用漢方製剤は現在10処方ほどあり、含有するアコニチンの量により劇薬か否かに分けられています。

 たとえば漢方医学的に腎の働きの減弱や、慢性的全身の冷え症によく用いる八味地黄丸の場合ですと、各薬品メーカーによって、処方される量の違いや、服用する量などで劇薬になったりならなかったりします。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  3. 3

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  4. 4

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  5. 5

    高市首相「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」どこへ? 中国、北朝鮮、ロシアからナメられっぱなしで早くもドン詰まり

  1. 6

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗

  2. 7

    阪神・佐藤輝明の侍J選外は“緊急辞退”だった!「今オフメジャー説」に球界ザワつく

  3. 8

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  4. 9

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  5. 10

    古川琴音“旧ジャニ御用達”も当然の「驚異の女優IQの高さ」と共演者の魅力を最大限に引き出すプロ根性