著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

お酒の値段を上げると病気が減る? スコットランドで証明

公開日: 更新日:

 あらゆるものの値段が上がって、家計への負担が急増しています。「また値上げか」と、その話題を聞くだけでうんざりする昨今ですが、医学の世界では逆にあるものの値段を上げることで病気の予防につながるのでは、という考え方が注目されています。

 その「あるもの」とは、お酒(アルコール)です。アルコールは適量(おおむね毎日、日本酒1合まで)であれば、健康に大きな影響は与えませんが、それを超える飲酒習慣は、肝臓病などのリスクを高め、寿命にも悪影響を与えます。また、アルコールには依存性があり、それも社会問題となっています。

 そこで、アルコールの最低販売価格を法律で決めることで、お酒の安売りを抑制し、アルコールによる健康被害を減らそうという試みが、スコットランドで最近行われています。報道によると、その法律が施行されてから、お酒の種類によっては価格が倍以上になった、ということです。

 それでは、こうした試みに健康への効果はあったのでしょうか? 今年のランセットという一流の医学誌に、現時点での調査結果が論文として発表されています。

 それによると、法律の施行後、アルコールによる病気の死亡者は13.4%減少していました。これはかなり痛みを伴う健康対策で、いろいろと問題もありそうですが、お酒の値段を上げると一部の病気が減ることは、間違いのない事実であるようです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」